【筋肥大の効果】低強度高回数>高強度低回数

論文レビュー

はじめに

現在のトレーニング科学では、筋肥大を目的としたトレーニングを行う場合、8回〜12回(67%1RM〜80%1RM)で行うことが最適であると言われている。

しかし、トレーニングの現場ではトレーニング強度の設定は人それぞれで異なっており、15RMを中心に行う者もいれば6RMを中心に行う者もいる。

実際に、サージヌブレは低強度高回数で恐ろしいほどの大きなバルクを手に入れている。一方で、合戸孝二は高強度トレーニングを用いて日本で何度も好成績を残してる。

筋肥大に重要な因子は、強度か、それともボリュームか…

今回紹介させていただく論文は、30%1RM vs 90%1RMでトレーニングを行った場合の筋たんぱく合成を比較した実験である。

方法

被験者は活動的な男性15名で、以下の3群に振り分けた。安静時、運動後4時間、24時間にバイオプシーを用いて筋たんぱく合成、同化作用シグナル、筋遺伝子発現を測定した。

運動方法:片足のみの膝伸展運動を4セット。強度は以下の通り。

(90%群)・・・90%1RMの強度で限界まで行う

(30%群)・・・30%1RMの強度で限界まで行う

(30WM)・・・30%1RMの強度で(90%群)と同じ仕事量になるまで行う

結果 

90%群と30%群の運動4時間後のMIXとMYOのたんぱく合成率の増加は、30WMよりも有意に高かったが、条件間で有意差は認められなかった。しかしながら、MYOは30%群のみ安静24時間まで高いままであった(199%)。MYO=myofibrillar(筋原線維) MIX=mixed(全ての)

全ての条件で24時間のAktSer473と運動4時間後のmTORSer2448 リン酸化が有意に増加した。

Erk1/2Tyr202/204, p70S6KThr389, and 4E-BP1Thr37/46のリン酸化は運動4時間後30%群のみ有意に増加したのに対して、4E-BP1Thr37/46 リン酸化は90%群と30%群の両条件で安静時よりも運動24時間後の方が有意に高かった。

出典 www.intechopen.com

結論

・本研究で低強度高回数のトレーニング(30%1RM)は、同化作用シグナル分子とMyoD,ミオゲニンmRNA発現と筋たんぱく合成を強く刺激することが証明された。つまり、低強度高回数は筋肥大に関わる因子に強く影響を与える。

・30%群は90%群または30%WMよりも筋同化作用の誘発するのに効率的であることがわかった。つまり、30%群(低強度高回数)の方が90%群(高強度低回数)よりも筋肥大の応答が大きい。

これらをまとめると、

筋肉が肥大するために必要な因子は強度よりもボリュームであることが示された。

筆者の考察

私の主観ではあるが、ボディビルダーは高回数行う人が多いイメージである。それはより多くのボリュームを稼ぐために効率的であり、かつ怪我などのリスクを下げるためにも良い方法ではないかと思う。一方で、合戸選手のように高重量を高セット行って筋肥大する人もいる。これは、怪我のリスクは高いがメリットとして筋への大きな物理的損傷を与えたり、神経系の改善や腱、靭帯の適応にはプラスの効果を与える。このように、筋肉を肥大するためには高ボリューム行うのが必須であるが、その手段として高強度で行ったり、加圧を加えたりなどの刺激の種類は多くあり、それらの効果をこれからの科学は追求していくべきである。

Nicholas A. Burd,Daniel W. D. West, Aaron W. Staples, Philip J. Atherton, Jeff M. Baker, Daniel R. Moore1, Andrew M. Holwerda, Gianni Parise, Michael J. Rennie, Steven K. Baker, Stuart M. Phillips :Low-Load High Volume Resistance Exercise Stimulates Muscle Protein Synthesis More Than High-Load Low Volume Resistance Exercise inYoung Men PLoS One. 2010 Aug 9;5(8):e12033。

コメント

タイトルとURLをコピーしました